絹屋本舗
こんな洗濯の悩みをお持ちの方へ …
「ワセリンや軟膏汚れの衣類を洗濯して、洗濯機の洗濯槽がベトベト汚れてしまう」
2009年4月16日
ワセリンや軟膏で汚れた衣類を洗濯していて、洗濯機の洗濯槽がベトベトに汚れてお困りの方は参考にご覧下さい。
洗濯槽がワセリンで汚れる理由が分かると思います。
また、洗濯槽だけでなく、洗濯機の排水を流す排水管にもワセリンが溜まってしまうこともあり、排水管の詰まりも注意しなければいけないことが理解できると思います。
お湯で洗ってもワセリンは分解しない。
ワセリンや軟膏で汚れた衣類をお湯と洗剤や石けんで洗濯すると、一見してワセリンが衣類から落ちたように見えますが、実はワセリンは洗濯機の洗濯槽に拡散(拡がり散らばること)して移っただけです。
お湯の温度でワセリンは軟化します。軟化とは柔らかくなることで、分解したわけではありません。また、普通の洗剤や石けんではワセリンは殆ど分解しません。
お湯が温かいうちはワセリンは柔らかくなりベトベトした粘り気も減って、お湯の中を漂って消えたように見えますが、お湯が冷えてくると元の粘りのある性質に戻ってアチコチにくっついてしまいます。
こうして洗濯機の洗濯槽がワセリンや軟膏で汚れてしまいます。
そんな状況を簡単な実験で再現しましたのでご覧下さい。
ワセリンがお湯で軟化して、冷えるとまたベトベトした粘り気が戻ってしまう様子を試験管で再現実験をしました。
下の画像をご覧下さい。
赤い部分は、ワセリン(軟膏)です。半透明のワセリンは分かりにくいので、分かりやすくするために赤く着色しています。
綿棒の先にワセリンを付けて試験管に入れましたが、途中でワセリンが試験管にくっついた様子です。
例えば、試験管が洗濯機の洗濯槽で、そこにワセリンが付着した洗濯物を入れた状態だとお考えください。
試験管に約80℃のお湯を入れました。
高い温度でワセリン(軟膏)が柔らかくなり浮いてきました。
お湯の中に柔らかくなったワセリンが拡散(拡がり散らばること)いる様子が分かるでしょう。
※洗濯機にお湯を入れた状態に相当します。
試験管を振ると軟膏は水面に移動します。
※洗濯機が回転した状態に相当します。
そのまま放置して、お湯の温度が下がってから試験管の水をティッシュペーパーに出しました。
※洗濯機の水を排水した状態に相当します。
※ティッシュペーパーに残ったワセリン(軟膏)は、洗濯ネットに残ったワセリンや、排水管に流れたワセリンに相当します。
つまり、この再現実験の結果から分かることは、
ワセリン(軟膏)をお湯で洗濯しても、ワセリンは分解して消えるのではなく、柔らかくなって拡散するだけで、温度が下がると元のネバネバした状態にもどってしまい、洗濯槽は排水管などに付着してしまう。
こうして洗濯槽や排水管にワセリンの汚れが付着して溜まってしまいます。
以下の再現実験は、洗濯機から排水されたワセリンが、排水管の中に付着する状況を再現しました。
試験管の中に約80℃のお湯を入れてワセリン(軟膏)を溶かしました。
赤く付着しているものがワセリンです。
試験管の中の温度が下がるとワセリンの粘りが戻ってきます。
試験管の水を抜くと、ベトベトに戻ったワセリンが試験管内に付着します。
特に水面だった部分にはワセリンが濃く付着しました。
この試験は洗濯機の排水管にワセリンが付着する様子を再現したわけです。
このように、お湯で洗っただけではワセリンは分解せずに、冷えると元のベトベトに戻ってしまい排水管の中にも付着して溜まってしまうので、排水管詰まりの原因にならないよう注意が必要なのです。
マンションで排水管が詰まり階下へ漏水したら、リフォームや損害賠償などで大変ですからご注意下さい。
洗濯機の洗濯槽がワセリン汚れでベトベトしていたら、排水管の中にもベトベト汚れが付着している可能性があるのです。
ちなみに、マンションのリフォーム業者さんに聞いたことがありますが、マンション水漏れ漏水事故の原因で一番多いのは、洗濯機の水回りに関するものだそうです。
今回の再現実験では洗剤や石けんを使用せずにお湯だけ使って実験していますが、洗剤や石けんを使っても同じ結果になります。 石けんや洗剤を使うと泡でワセリンが見えにくくなるためにお湯だけで実験しました。
実際の洗濯機で、ワセリンや軟膏の付着の様子を見てみましょう。
実際に業務用純石けんとお湯で通常の2倍の純石けんを使い、ワセリン(軟膏)が付いた衣類を洗うと、ワセリンは拡散(拡がり散らばる)するだけです。
このようにワセリン(軟膏)を少量(約1gだ)付けて洗濯しました。 この後、ワセリンを衣類によくすり込んでから洗濯しました。
純石けんを多く入れているので、豊かな泡立ちです。純石けんを多く入れているので、洗浄力が充分にあることが分かります。
この状態で、ワセリン(軟膏)で汚れた衣類を洗濯しました。
洗濯後に洗濯機の洗濯槽を観察すると、下の画像のようなワセリン(軟膏)の付着が見つかりました。
わずかに約1gのワセリンが付着していた衣類を洗濯しただけでも、ワセリンが洗濯槽に付着して残ってしまうわけです。
もっと多くのワセリンや軟膏が衣類に付着していれば、洗濯槽へのワセリン付着量も増えるので、あっと言う間に洗濯槽がベトベトに汚れてしまうこともあるのです。
洗濯槽のお湯の温度が下がり、お湯の中に拡散していたワセリンがネバネバした状態に戻って、洗濯槽に付着したわけです。
ですから、すすぎも出来るだけ高い温度ですすぐとワセリンが付着しにくくなるかも知れません。
以上のように、ワセリンで汚れた衣類をお湯で洗濯しても、洗濯槽や排水管へのワセリンの付着を避けることは難しいのです。
対策として、 ワセリンカットでの浸け込み、ワセリンを分解して粘りを無くしてから通常のように洗濯機で洗濯を行えば、洗濯槽や排水管へのワセリンの付着は激減します。
ワセリンカットで浸け込みしてから洗濯した後の洗濯槽です。ワセリン付着はありません。
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